Satomiさんという方から「こだわりのロングセラー」のコーナーで水枕を取り上げて
欲しいというメールを頂戴した。ふむふむ言われてみれば確かに水枕はオイラが
ガキの頃からずーと変わらずにあるロングセラーだぞ、、、しかもあの形、色、
機能はほとんど変わっていないような気がする。

水枕という言葉には、妙に懐かしく心を癒してくれそうな響きがある。
そういえば、ガキの頃、風邪をひいたりして熱を出している時に、母親が
「まっ、こんなに熱を出して。今から水枕を作るからおとなしく寝ていなさい」
と言って、冷蔵庫から氷を取り出し、冷たい枕を用意してくれたもんだ。
”水枕を作る”という言い方は標準的かどうかわからないが、うちの方ではこのように言った。

水枕の上に頭を乗せると、氷がゴロゴロしていて、チャプチャプと水の音がなり、
「浮遊感」にも似た感覚がするのだ。
そして水枕特有のゴムの臭いがするのだが、決して嫌な臭いではなく、むしろ
「ああ、またお前の世話になるね」という挨拶のような感じの臭いだ。
ほいじゃ、Satomiさんのリクエストに応えて、いっちょう水枕について調べてみよう。。。

水枕は奈良県大和高田市にある浪華ゴム工業という会社で開発され、明治41年(1908年)に販売されたらしい。布にゴム糊を塗った枕を作り、締木をつけて冷枕として売り出された。その後、明治43年には総ゴム製の水枕に締め金を取り付ける方式を考案された。さらに大正7年には、スペイン風邪がが大流行し、水枕は飛ぶように売れたという。大正12年にはシームレスタイプの水枕が完成し、産業と
して定着するようになったということだ。つまり水枕は誕生からもうすぐ100年になろうとしているロングセラーなのだ。しかも驚いたことに大正の頃から素材・デザイン・製法がほとんど変わっていないという。もしかしたら水枕は大正時代に完成の域に達したといっても過言ではないかも知れない。
こだわりのロングセラーNo.8
水 枕
オイラは「アイスノン」は頭に硬いので好きにはなれず、まだでも熱を出すと、カミさんに水枕を”つくってもらう”のだが、最近では薬局でも隅におかれる存在になっているようだ。たしかにアイスノンに比べて扱いが面倒であるし、保冷性もアイスノンに軍配が上がるのは否めない。
調査によれば、昭和30年頃には毎月10万枚の製造があったようだが、現在では年間で20万枚というから、一般家庭では使われなくなったことを意味する。
水枕は天然ゴム製だそうで、配合薬品を加えて練り上げ、シート状に伸ばし厚さ1.5ミリのゴム板を枕の形に裁断される。それを「たい焼き」を作る要領で上下2枚のゴムを加熱・接着してひとつひとつ手作りで作る。(この製法も大正時代から変わらず大変な手間がかかるらしい)
「浪華ゴム工業梶v製の水枕のブランド名は《オンリーワン》という。現在、3種類の商品が発売されていて、昔ながらの従来型、小型の幼児向け、そしてボックス型というものがある。このボックス型は20年くらい前に登場した商品で枕の内部にゴム製の柱がついていて、水を入れて膨らませると、その部分が窪んで、頭が自然に収まるようになるという優れものだ。
価格についてもメーカーの良心とも言えるのであろうか、昭和40年ころからほとんど変わっておらず定価で3000円くらい。うちの近所の量販店では実売価格は1300円で販売していた。
ところで、水枕の色は紅茶色と相場が決まっているが、その理由が知りたくて色々と調査してみたのだが、結局のところわからなかった。青色や緑色、黄色、七色の水枕があっても不思議ではない気もするのだが、やはり頭痛のしている時に、七色をした枕を見たら、ますます頭が痛くなってきそうだから、はやり今の紅茶色がふさわしいということだろうか。
、、、と思いきや、ありました、ありました「キティちゃん水まくら」(笑)うーむ、オジサンはかえって熱が出そうだ。
もしかしたら、これを読んでくれている人の中に、水枕を見たこともないという世代の方もいるかも知れないが、一度 使ってみることを薦める。2年前の夏に寝苦しい時の”真夏の枕”としてテレビで紹介されてから再び人気が出てきたそうだ。また二日酔いの時なども、実際使ってみるとタップンタップンとして、氷が溶ける音が耳元が聞こえたり、とても感触が良かったりもする。どうやら水枕は、病気の時ばかりではなく安眠用としても役に立つものになっている。
ちなみに水枕を長持ちさせる方法があったので、記載しておきましょう。
● 使用後は内・外面を水で洗い、水枕の口を下にして吊るし、陰干しをする
● 日光にあたる場所に放置するとゴムが早く老化するので、
  乾かしたあとは冷暗な場所に保管すること
● 水枕の表面にベビーパウダーなどをふりかけて保管すると一層長持ちする
浪華ゴム工業
〒635 奈良県大和高田市曽大根2-6-1
:0745-52-5681
価格  従来型(2800円)、小型の幼児向け(2600円)、ボックス型(3200円)
(原稿:2002.3.24)
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ちなみにどうでもいいのだが、
「万国びっくりショー」 とかで、肺活量自慢のおっさんが小手調べのゴム手袋のあと さて、真打ち登場って時に水枕を風船の様に破裂させられていたことを思い出した。
外人さんがよくやっていたので、海外にも水枕があるのかどうか知りたいところだ。映画では見かけないように思うのたが、、、?


海外で水枕が存在するか否か、ご存知の方は「はすぴー掲示板」まで教えてください。
リンク:「水枕博物館」 ← ご覧ください