プラトンボ


日本人だったら「竹トンボ」を知らない人はいないだろう。

竹トンボは日本だけに存在するおもちゃなのだろうか?

竹というえば、パンダだから中国にもあるのだろうか?などと

本題に入る前に悩んでしまった。。。

でも「竹コプター」は日本オリジナルの登録商標かも・・・?

 

はすぴーが小学5年の時に、なぜかこれが流行った。竹では

なくプラスチック製だったので、「プラトンボ」と命名されて

いた。当時の金額で10円か20円だったように記憶している。

駄菓子屋やおもちゃ屋で売っていたので、誰でもたやすく入手

できたが、本当にうまく飛ばせることができた少年は案外と少

なく、クラスでもはすぴーと悪友H君、T君くらいだったと自負

している。竹トンボと違って、「主軸」(回す棒)と「羽根」は

切り離されるため、飛距離は普通レベルの少年で10〜15m

はすぴークラスになると20〜25mくらい飛ばすことが出来、

さらにはブーメランの如く、自分にところに戻ってくるテクニック

や野茂選手の如く切れ味の良いシュート、カーブ、スライダー

も飛ばすことができる。また競って各人のコントロールを磨いた

ものだった。

 

はすぴーと同レベルを持つH君は二人でプラトンボをもって駅前

のスーパーによく行った。そのスーパーは4階立てで屋上が

広場になっていて、おこちゃま向けの乗り物やゲームがある、

一般的なスーパーだ。

そこの階段でプラトンボによる「ぶつけっこ」をよくした。

要するに相手の体に先にプラトンボをぶつけた方が勝ちという

単純なルールではあったが、二人の間では盛り上がっていた遊び

だ。周囲の人、すなわちスーパーの客や店員を「盾」にしても

良いというルールもあった。なんとも迷惑な遊びだ。プラトンボ

は洋服の上から当たる分には、さほど痛くはないが、手や顔に

当たると結構、痛い。ましてや知らないガキにぶつけられた日

にゃ、相当痛かったと思うが、下町は人情味あふれ、温厚な人たち

が多く、「痛てぇな、このくそガキ!」程度の罵倒で済んだ。

 

こんな迷惑な遊びは長続きはせずに、ある日、胸元に「店長」と

書かれた名札をした人が笑顔で「君たち、ちょっと一緒に来てく

れるかなぁ?」と低姿勢で近づいてきた。

連れていかれたところは倉庫のようなところだった。

さっきまで笑顔の「店長」さんは、なぜか急に顔つきが変化した。

テレビによく出てくる悪人の顔だと思った。

「迷惑なんだよ。お前ら。お客さんが困っているって言っている

んだぜ。学校、どこ?」・・・殴られこそしなかったが、これを

「脅し」っていうだろうなとその時、感じた。

 

これを機会にはすぴーとH君はプラトンボをするのを止めた。

あのスーパーで遊ぶのは。そして別のスーパーに移動することに

なった。

 

その後、プラトンボに飽きてきたはすぴーは、羽根にカミソリの

「刃」をつけた武器をつくり、ふすまを敵にみたて、遊んだり

もしたが、母親にこっぴどく叱られ、ついに卒業することになり

ました。たぶん今でも20mくらい飛ばせそうな気がするが、、、、

【原稿:98.9.12】


 

あの頃のセピア色の想い出

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