絶滅寸前こだわり商品No.2

★ 蝿取り紙(ハイトリリボン)  

先日、レンタルビデオで「ザ・フライ」という映画をみた。

フライといっても前回の絶滅寸前商品の「文化フライ」ではなく「蝿」の方のフライで

あって、人間のDNAに蝿の遺伝子が混入してしまい、蝿人間になってしまうぞ、いっひっひ

という作品でなかなかのお薦め作品である。

そんなビデオをみながら「そういえば、最近、蝿取り紙をみていないがもうなくなって

しまったのだろう・・・」と妙に気になってしまい、ちょっと調べてみたくなった。

 

さて、まずは蝿取り紙について説明すると、小さな筒のような形をしているもので、先っぽ

についている紐を引っ張ると、ベトベトした黄色い紙の帯みたいなものが中からニョロニョロと

でてきて、こいつが1メートルくらいある。それを天井からぶら下げておけば蝿が飛んできて

「ん?あれは何だ?」と思って着地した瞬間くっ付いてしまうというな商品。

もっとわかりやすくいえば、ガムテープの両面タイプだと思ってくれれば話が早い。

正式名称を「リボン型ハイトリ紙」という。これは蠅取り紙を最初に作った「カモヰ加工紙」

という会社は岡山県倉敷市にあって、岡山では蝿のことをハイというそうで、、、はい。

 

調査したところによると、「カモヰ加工紙株式会社」は当初「カモヰのハイトリ製造所」

という社名で、昭和5年(1930年)にハイトリリボンを発売した。それ以前にもハイトリ紙を

作っていたらしいが、このリボン型はこの年に考案され、そのお手軽さがヒットして

またたくまに普及したちゅうことだ。

 

はすぴーのガキの頃、昭和40年代にはよく魚屋さんの店先に4〜5本ぶらさがっていた

もんだ。(のれんじゃねぇ〜ぞ)あとは、ラーメン屋とか食堂にもぶらさがっていたし、

普通の家庭にも天井からヒラヒラと黄色のリボンがぶらさがっていた。

これを「幸せの黄色いリボン〜蝿取り紙は幸福のシンボル」として米国のニューズウィーク誌に

紹介されたことがある・・・わけがない。

しかし、今あらためて考えてみれば、強力な粘着テープに蝿の死体あいるはまだ生きていて

もがいているやつが何匹も付着しているものが天井からぶらさがっているわけだから

あまり気持ちのいいものではないし、決して衛生的とはいえない。

現代の抗菌グッズに慣れている若者には想像もつかない光景だろうな。

 

今回、蝿取り紙の生存調査するにあたってネットのお友達の掲示板に「見かけないか」と

相談したところ、「最近、ちーとも見かけないけど、子どもの頃によく頭にひっかかったよね」

という共通した意見が寄せられた。

そうなんだよね。子どもって注意力が乏しいから、蝿取り紙があると知りながら気がつかないで

頭や体にくっつけてしまったという経験者が意外と多いようだ。

そういうはすぴーも同じドジをしていて、ちょうど立ち上がった時に頭にペタリと。。。

「うわっ、ちゃちゃちゃ、しょえぇぇぇ〜」なんてあわてたもんだから、今度は手で

リボンをもぎとってしまい、頭の上にポタリと。。。

「あぎゃぎゃぎゃ〜 ひぇえぇぇ〜」とあがいているうちに、頭の上には蝿取り紙の

ターバンができあがっていた。with 蝿ちゃんの死体数匹。。。。

 

掲示板の書き込みを読んでくれた愛媛県に住む「ことみさん」という主婦の方から

「うちの方ではまだ売っているよ〜」という貴重な情報を入手。

おっおっ、、、蝿取り紙はまだ絶滅していなかったのだ。さっそく ことみさんにお願いを

して送ってもらうことにした。

それがこれらの写真である。

     

 

 蠅取り紙には2種類あるそうで、

 ・天井から吊るすリボンタイプ

 ・ごきぶりホイホイみたいな粘着シートを台に置く「平紙」

 なんでも、空中高く飛ぶ蠅と、地表近くを飛ぶ蠅と2種類あるそうだ。

 

まずはリボンタイプの「ビッグリボン」の箱をよく見ると、発売元は前述の「カモヰ加工

紙株式会社」で 裏にはMADE IN THAILANDと記載されていて、製造元 タイカモカンパ

ニータイランドとなっていた。ということは実際に製造しているのはこの会社のタイ国に

ある関連会社で販売をこの会社が行っていると推測される。

そして箱には「実用新案第1511600号」と書いてあり、商標登録を示すマルRも明記されていた。

 

箱には5つのパッケージが入っていて、ついに約30年ぶりに蝿取り紙とご対面となった。

そうそう、これですよ。このベトツキ感、この紙の色、おっと、指にくっついちゃたい、、

そして、天井にぶさげてみた。おっおっ、、懐かしいですねぇ。

こうなるといけにえの蝿ちゃんの登場が待ち遠しいのだが、考えてみれば最近、蝿そのものを

あまりみかけない。しばらく蝿取り紙を眺め、感慨にふけている怪しいおやじであった。

(カミさんや娘がこの様子をみたらどう思っただろうか)

 

ちなみに箱の裏に注意事項が記載されており、なんとなく笑えるので紹介しちゃいます。

<安全にお使い頂くためのご注意>

1.粘着剤をなめたり、食べたりしないで下さい。

2.粘着剤が皮膚に付着した時は、石鹸でよく洗って下さい。

3.髪やペットに付着した時は、シャンプーで洗って下さい。

4.衣服に付着した時は、ベンジンで拭いて下さい。

 

恐るべし、蝿取りリボン。

 

次にシートを敷くタイプの「平紙」を説明すると、、、、

こちらも発売元は「カモヰ加工紙」。大きさはB5版で3枚入り、色々な文句が書いてある。

見事なキャッチ!

今日の一匹、明日の千匹。

’病の種蒔く、蝿の足’

面白いほどよくとれる!

 

そしてびっくりしたのは「ねずみもとれる」

この商品、英語で FLY&MOUSE CATCHER と書いてある。

どっひゃ〜、ねずみを捕るなぁぁ〜!!

 

こちらの商品は開けてしまっても使い道がないし、もしかして3歳の娘がゴケブリホイホイ

みたいにひっかかってもがくといけないので、開封せずにある。

 

以上、今回の絶滅寸前のこだわり商品No.2として「蝿取り紙」を調査してわけだが、

この商品は東京ではほとんど見かけなくなったが、結構しぶどく生存し続けるだろう

という確信を得た。そして発売元の「カモヰ加工紙株式会社」はこの商品ではたぶん

国内90%以上の独占マーケットシェアだと思われるし、日本以外の蝿の多い国向けに相当の

輸出をしているのではなかろうかと推測される。

「カモヰ加工紙株式会社」は蝿取り紙で得たノウハウを武器にして新しい粘着商品を

開発しているようだ。

いずれにしても、「蝿取り紙」まだまだ絶滅して欲しくないこだわり商品のひとつだ。

 

カモヰ加工紙株式会社

〒710 岡山県倉敷市片島町236

※スーパー勤務のネコさんからもいただきました↓

桐灰化学株式会社

お便りコーナー

 

 (2000.7.8)

 「絶滅寸前のこだわり商品」に戻る

TOP